特別養護老人ホーム サンヴェール尾張旭様
– "みえる"が導く
利用者の”できる”に寄り添うケアと成長–

今回お話を伺ったのは、愛知県尾張旭市の社会福祉法人墨友会 特別養護老人ホームサンヴェール尾張旭の職員のみなさま。こちらの施設様は、HitomeQ ケアサポートをインフラモデル※1で導入された第1号施設さまです。今回は、”みえる”ことで変化した、利用者の”やりたい”・”できる”に寄り添うケアとそれを支える職員の成長についてのお話をご紹介します。

※1:行動分析センサーとナースコールをまず導入頂き、段階的に見守り機能(行動検知やケアルーペ)をONにしていく、ステップアップモデル。 サンヴェール尾張旭さまでは、全100床に行動分析センサーとナースコールを導入され、そのうち40床で見守り機能を、お使い頂いています(残り60床はナースコール機能のみ)。

特別養護老人ホーム サンヴェール尾張旭
看護課長:今村
システム課長:今井 様
通所介護課長:樋口 様
特養介護課長:福元 様
介護課長統括補佐:市原 様
施設長:橋本 様
事務長:杉岡 様

※2024年12月時点の情報です。

目 次 – "みえる" が導く、利用者の”できる”に寄り添うケアと成長編 –


インフラモデルが導くケアの方向性

  1. 段階的に無理なく始められたHitomeQのインフラモデル
  2. 巡視を賢く―残存機能を大切にするケアへ

見守りで変わるケアと職員の成長

  1. 使って気づいた”ケアの可能性”と”職員の変化
  2. リーダーの成長が現場を動かす力になる
  3. センサーが高める「見守る」ケアの重要性

段階的に無理なく始められた HitomeQのインフラモデル

―― インフラモデルでご活用中ですが、一部機能が違うことで現場のオペレーションに影響はありますか?

今井システム課長 当施設では、ユニットごとに運用を分けています。一部のユニットにはすべての機能を活用していますが、ほかのユニットではナースコール機能のみを利用しています。そのため、すべての機能のユニットではLIVE映像で状況を確認してから訪室を判断する一方、ナースコール機能のみのユニットでは、呼び出しがあれば訪室して様子を確認する従来の流れを続けています。

今は、すべてのユニットにすべての機能を使う実証実験を行っていますが、全ユニットで「呼び出しがあれば確認し、必要に応じて訪室する」という基本的なやり方は統一されています。そのため、大きく戸惑うこともなく、現場での混乱は起きていません。職員も落ち着いて対応できています。

橋本施設長 設定の違いがあるため、利用者の状況や必要に応じて使い分けています。ナースコール機能だけのユニットでも、「この利用者の行動を詳しく見たい」という場合は、設定を変えることで対応できます※2。こうした設定の変更についても事前に教わっているので、現場で柔軟に対応できるようになっています。

現在、インフラモデルで機能が限定されているユニットでも、利用者の状況に合わせてどの機能が必要なのかを確認し、必要性を共有する場を作れています。現場で運用の仕方と機能の特性を共有することで、より適切なケアができるように担当の介護課長間で共有し、すすめてくれています。

―― インフラモデルで、段階的にステップアップできることは、導入の決め手として大きかったですか?

橋本施設長 一番大きいですね。やはり段階的に導入できる仕組みは大切だと思います。これだけ高価なシステムは、正直なところ、すぐに取り入れるのは難しいかもしれません。ただ、将来的な発展性を考えると、とても魅力があります。

担当者が大変丁寧に、導入に向けたシュミレーションや補助金申請をサポート下さったことによって、取り入れるイメージができました。行動検知を通じたアセスメントの精度向上、その結果を活用してプラスアルファのケアができる点は、他社のカメラとは一線を画していると感じます。この部分が、大きな違いとして評価されるのではないでしょうか。

たしかに最初は、「全ユニットに設置するより、移動式カメラの方が良いのでは」という意見もありました。でも、インフラモデルを検討した結果、「これなら使える」と感じ、画期的だと思いました。特にユニットケアでは、1ユニットに1人はいつも見守りが必要な利用者さんがいます。当施設では介護度でユニットを分けておらず、お看取りの方や自由に動ける方、臥床時間の長い方などADLが様々です。

このシステムでは、「この利用者さんにはこのレベルの見守りが必要」というように、設定を柔軟に変えられるのが大きな特長です。他のカメラにはない強みで、さまざまな利用者の状況に対応できる点が、とても助かっています。

 

※2:見守り機能は、契約ライセンス数内であれば付け替えることが可能です。必要な利用者のお部屋に変更することができます。

巡視を賢く―残存機能を大切にするケアへ

―― HitomeQを導入したことで、職員間での意識の変化や課題についてどのように感じていますか?

福元特養介護課長 正直なところ、職員間で意識の差があったり、まだ十分に使いこなせてない部分もありますが、HitomeQの活用に期待を寄せています。うちの施設の強みは、思いやりのある職員が揃っていることです。ただ、その分、タイムマネジメントに課題がありました。手厚い介護をする中で時間がかかったり、「寄り添う時間を省きたくない」という気持ちが強く、効率よく動くのが難しい場面もありました。

こうした課題に対して、HitomeQを使うことで、職員が安心して効率よくケアできる場を整えられるのではないかと考えています。

―― 日々の巡視や対応の中で、HitomeQを使えば改善できると感じた点はありますか?

福元特養介護課長 心配で何度も巡視する職員もいますが、それが結果として利用者の残存機能を奪う可能性があるのではないかと感じています。過去には事故や急変がショックで職員が退職するケースもありました。HitomeQの映像を使えば、必要ない巡視を減らし、利用者さんの行動を観察して残存機能を活かすケアにつなげられると期待しています。

また、HitomeQを使うことで、感覚に頼りがちだったケアに、データに基づく根拠を持たせられるのも大きな良さです。特に認知症ケアでは、適切な方向性を見つけるのがとても難しいため、職員がそれぞれの価値観で動いてしまい、ケアの統一が難しい課題がありましたが、HitomeQを活かせば、適切な方向性を共有し、一貫したケアを提供できるようになるのではないかと考えています

福元特養介護課長

使って気づいたケアの可能性と職員の変化

―― まずはトライアルで、HitomeQ ケアサポートを体験されましたが、いかがでしたか?

福元特養介護課長 トライアルを体験した職員からは、「親切で安心して聞けた」「データ例を一緒に考えてくれた」など、サポートの手厚さに対する評価が多く寄せられました。また、「通知が朝方に集中しても優先順位が可視化され、判断がしやすい」といった、実際の使い方に関する意見も挙がっています。

さらに、育成面にも活用できる可能性に期待が寄せられています。ユニット型のケアでは、1人で回すことが多く、「経験豊富な質の高い職員と一緒に仕事をする機会が少ない」という課題があります。このシステムを使えば、ベテラン職員の経験や実践をデータとして可視化し、それを育成に役立てられるのではないかと考えられています。

―― たくさん褒めて頂き、恐縮です(笑) トライアル始める際も、ポジティブだったんですか?

今井システム課長 トライアルを始める前は、もともとのフットセンサーとほとんど変わらず、映像が見られる程度というイメージを持っており、「ほかのカメラと変わらないのでは」と半信半疑でした。しかし実際に使ってみると、利用者さんの行動が詳しくわかり、転倒リスクや改善点が明確になりました。たとえば、車椅子の位置や服の置く場所を調整するだけでリスクを軽減でき、新人職員でも取り組める改善策が見えてきました。トライアルを通じて、これまで気づけなかったことがカメラを使うことで明らかになりました。その結果、ケアの方法をどう考え、変更し、統一するかというプロセスが明確になりました

また、トライアル中に映像の活用方法やデータに基づくケアプランの改善方法を教えてもらえたのも大きな価値でした。ただのカメラ設置にとどまらず、ケアの統一と向上につながるプロセスを体験できたことがとても有意義でした。

今井システム課長、橋本施設長、杉岡事務長

―― ”みえる”という体験をされた職員の方とそうではない方で、HitomeQに対する気持ちの差があったのではないかと思います。どのように導入まで進められたんでしょうか?

今井システム課長 一番大きかったのは、トライアルを行った職員7名が中心になったことですね。トライアルを行った職員と、ユニットの課長と話をし、その結果を全体の会議で共有してもらいました。その中で「やっぱりこれは導入した方がいいです」という意見が出て、そうなんだ、と周りを巻き込んでいった感じですかね。

橋本施設長 有難いことに既に導入されている施設の見学の機会を担当者がセッティング下さり、導入に際しての課題や効果、メリットデメリット等、情報交換する機会をいただきました。それらも含めてリーダー会や課長会で話し合いを行い、皆さんの意向を運営会議で確認して、最終的に導入を決めました。「このシステムが必要かどうか」を判断してもらった形ですね。

杉岡事務長 職員たちにも「導入する以上は効果を出さなければ」という気持ちがありました。決断の決め手は、HitomeQを経験した職員の変化がはっきり見えたことです。トライアルに参加した職員が「良かった」と口々に話し、成長が実感できました。そのため、導入に反対する職員がいても、後で納得してもらえるという確信がありました。心配よりも、プラス面の方が大きいと感じました。

今井システム課長 「職員の動きを監視されるのでは」と懸念する声も一部ありましたが、録画は「いつも見られるわけではなく、必要なときだけ確認するもの」と説明しました。また、通知設定の方法などを個別に話し、理解を深めてもらいました。どこまで納得できたかは分かりませんが、丁寧な個別対応によって理解が進んだと感じています。

リーダーの成長が現場を動かす力になる

―― ”みえる”という体験を通して、印象に残ったことはありますか?

橋本施設長 特に印象的だったのは、リーダーたちの成長が目に見えてわかったことです。伴走支援のミーティングを重ねる中で、「このトライアルを通じてリーダーたちが育っている」という手応えを感じました。単なる機器の導入にとどまらず、リーダーたちの成長プロセスを体感できたのが大きな収穫でした。

たとえば、昼間の休息を適切に取ることで午後の活動が良くなり、夜間の良眠につながることを再認識したり、利用者さんの行動からリスク箇所を見直し、対策を立てる機会が生まれたりしました。新しい気づきがたくさん得られたことはても意義深かったです。

杉岡事務長 そう、新しい発見が多かったですね。

橋本施設長 その発見を基に、ケアをどう変えていくかを考えることを職員たちが楽しんでいました。たとえば、普段居室内でどんな風に離床されるかを知れたことで、「ベッドサイドのこの位置に車椅子をこの角度で置くと、この利用者様は動きやすく安全だから」と、テープで目印をつけ職員間で統一したり、朝起床して身支度する動線や動作を把握することで、リスク回避ができるよう家具や翌朝の衣類準備等の配置を変更したりといった工夫が生まれ、実際に改善を実現できたことも効果的でした。

今井システム課長 「こうすれば全員ができるじゃん」といった話も出て、改善できたことが大きな成果でした。この1か月でこれだけの効果が出たのだから、「これを続ければもっとすごいことになるぞ」という意識が職員たちの中に生まれたのだと思います。

センサーが高める「見守る」ケアの重要性

―― 職員育成について、かなり効果を感じられているんですね。

橋本施設長

橋本施設長 ケーススタディを重ねることで、職員全員が自然と状況を見て判断できるようになり、介護の質が大きく向上しています。未経験の職員もICTを活用しながらケアに取り組むことで成長しており、数年後にはその成果がはっきりと見えてくると期待しています

特にリーダーの変化が目立っていて、スマート介護士の資格をとったり、研修への意欲も高まっています。認知症ケアでも、「考えてみよう」という姿勢が生まれ、以前は頻繁に声をかけていた場面でも「見守る形」に変わりました。見守りセンサーを取り入れたことで、利用者さんの「できること」や「やりたいこと」を考える機会が増え、ユニットでのレクリエーションや利用者さんとの関わり方にも良い影響が表れています

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HitomeQ(ひとめく)