事故報告書の書き方ひとつで介護事故が減る!
本気のあなたに例文で解説

事故報告書の書き方ひとつで介護事故が減る!本気のあなたに例文で解説

目 次

  1. 事故報告書の目的とは
  2. 国が定める事故報告書の様式とは
  3. 事故報告書を書く際のポイント
  4. 例文紹介!事故報告書の具体的な書き方
  5. 事故報告書を活かして、ケアの質を上げよう!

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介護現場で事故が起こった際、事故の原因が何だったのか、再発予防のために必要なことは何かについて、事故報告書で振り返ることが重要です。
本記事では、介護現場で起こる様々な事故を例にして、事故報告書で使える例文と書き方のポイントを紹介します。

事故報告書の目的とは

事故報告書の目的とは

事故報告書を書く最も大きな目的は、同じ事故を繰り返さないようにするためです。ありのままの事実を記録することによって、事故の原因や負傷した事実を包み隠さず共有し、組織で対応できるようになります。
起こってしまった事故を、無かったことにはできませんが、大切なのは事業所がその事故をどうとらえているかということです。スタッフや事業所が事故の後どのように対応したのか、再発防止に向けてどのように取り組んだのか、利用者さんやご家族はその姿勢で事業所を評価しています。

事故報告書を迅速に作成し、組織全体で誠意のある対応を行うことが、その後の利用者さんやご家族との信頼関係につながるといってもよいでしょう。

事故の再発予防のため

事故報告書は、事故の再発防止のために作成するといっても過言ではありません。介護現場においてなぜ事故が起こったのか、同じ事故を防ぐためにはどのような手立てが必要か、報告書を作成することで、事故の内容を振り返り、業務を見直すことが重要です。
事故報告書はスタッフ一人で記入することが多いですが、可能な限り原因分析や再発防止策はチームで話し合って決めましょう。なぜなら、さまざまな専門職が多角的な視点で分析することで、再発に向けてあらゆる手段を講じることが可能となり、事故リスクを減らせるからです。

スタッフ全員で事故を把握するため

事故の再発防止を行うためにスタッフ全員の経験やスキルを活かし、事故報告書を活用しながら協議することはとても有効です。
同じ理由で再び事故を起こさないためにも、事故の発生状況や課題を把握し、再発防止策も含めてチームで共有しておきましょう。具体的な取り組みとして、定期的な全体ミーティングをおこない、事故事例を検討したり対応方法を統一したりすることはとても重要です。

記録を残して事故の隠ぺいを防ぐため

事故に至った経緯や原因を報告書で残しておくことによって、市町村への情報提供やご家族への説明をスムーズに行うことが可能です。事故が起こったときこそ、再発防止に向けて真摯に対応する事業所の姿勢が試されます。
そのためには、報告書が出来たら迅速に組織内で共有できるよう主任や管理者などの決済ルールをあらかじめ作っておきましょう。事故直後の対応から再発防止の取り組みまで組織全体として誠実に取り組む姿勢は、二次的な被害や苦情を最小限に抑えることが可能です。

国が定める事故報告書の様式とは

国が定める事故報告書の様式とは

介護サービス事業所は、サービス提供中に甚大な事故が発生した場合は、市町村にその内容を報告する義務があります。しかしながら、報告基準が市町村によってさまざまで、様式も統一されていませんでした。
そこで「令和3年度介護報酬改定に関する審議報告」において、国は事故報告書を標準化し情報の蓄積と事故事例の有効活用を行うため、様式を統一しました。では、どのような基準でどのような内容を報告するのか具体的に紹介します。

死亡に至った事故には報告義務がある

国が定めた事故報告を行う基準は次の通りです。
 1. 死亡に至った事故
 2. 医師(施設の勤務医、配置医を含む)の診断を受け投薬、処置等何らかの治療が必要となった事故
その他の事故の報告については、各自治体の取り扱いによるとされています。

報告期間は5日以内が目安

事故が発生したことを知らせる第1報は、5日以内に提出することが義務づけられています。事業所で対応方法や原因分析が十分検討されていなくても、まずは現場でどのような事故が発生したのかを、速やかに報告することが必要です。
その後、チームでの対応方法や利用者さんの状態などが分かれば、第2報として追加で報告します。

報告対象となるサービス

事故報告標準様式の内容は、主に施設サービスでの事故が想定されていますが、国は認知症対応型共同生活介護事業者(介護予防を含む)、特定施設入居者生活介護事業者(地域密着型及び介護予防を含む)、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、養護老人ホーム及び軽費老人ホーム、その他の居宅等の介護サービスにおける事故報告においても可能な限り活用してほしいと周知しています。

事故報告書の標準様式

令和3年に事故報告書の標準様式が定められた理由の一つは、事業所だけで情報をとどめておくのではなく、介護保険や福祉事業所で広く共有し、再発防止に向けて業界全体で共有しやすいようにするためです。
そのためには、統一した項目で情報を整理、分析しやすいことが重要といえます。また、市町村とスムーズな情報共有を行うためには、報告書の提出は原則電子メールを活用することが示されました。

今回出された通知と標準様式は、以下からダウンロードできます。
参考:令和3年3月19日付介護保険施設等における事故の報告様式等について/厚生労働省

事故報告書を書く際のポイント

事故報告書を書く際のポイント

国が示した標準様式には、あらかじめ記載する項目が示されているため、この項目に沿って空欄を埋めていくことで、事故の概要を適切に記録ができます。
標準様式に記載されている項目を確認しながら、事故が起こった際にどのような内容を記録すればよいのか紹介します。

事故概要の項目

事故の概要を簡潔に報告するために標準様式では次の項目から記載していきます。
①事故状況(受診や入院が必要か、死亡に至ったか)
②事業所の概要
③対象者の基本情報
④事故の概要

とくに④事故の概要は、発生場所や事故の種類をチェックする項目と、事故の詳細を具体的に記載する記述式項目で構成されています。記述式で報告することで、より詳細に事故の状況が記載でき、客観的かつ正確な事故状況を把握できます。
報告書の中でも事故概要に関する重要な項目となりますので、事故発生後すみやかに記載するよう心がけましょう。

事故発生時の対応

事故発生時の対応欄には、そのときスタッフがどのように判断し、対応したかという内容を記載することが必要です。医療機関を受診した際には、救急・外来・往診・施設内の医師など受診の方法と、分かる範囲で診断結果も記載しておきましょう。
ここで重要なポイントは、発生した事故に対応した内容と、受診した場合にそう判断した根拠が分かるように記載しておくことです。そうすることによって、次に同様の事故が起こった際の行動指針になったり再発予防策につながったりします。

例えば、以下のような書き方が挙げられます。
「10:00に止血対応。10:20に血が止まらなかったため救急車を要請。」

事故発生後の状況

「事故発生後の状況」では、利用者さんの状況、ご家族や関係機関への報告の有無や内容を記載します。事故発生5日以内に提出する事故報告書はここまで記載されていることが基本です。
また、この様式を活用することによって、関係機関などあらかじめチェックボックス形式で例示されているため、報告忘れも防げます。

例文紹介!事故報告書の具体的な書き方

例文紹介!事故報告書の具体的な書き方

事故報告書には国が示す標準様式がありますが、基本的な書き方のルールを守ることが大切です。具体的には、【いつ】【どこで】【だれ】【どのように】【なにをした】という項目を網羅します。
世間で「5W1H」と呼ばれる項目ですが、客観的に事実を記録する上では忘れてはならない書き方の基本ルールのひとつです。
この章では様々な場面を想定しポイントとあわせて例文を紹介しますが、標準様式を試用する際には該当する項目へ記載してください。

では事故報告書の具体的な書き方について、さまざまな場面を想定しポイントとあわせて紹介していきます。

ケース1.施設で転倒したAさんの場合

いつ 令和〇年2月1日 午後11時30分ごろ
どこで 利用者居室 101号室
だれが Aさん(81歳男性 要介護3)
どのように 居室から大きな音がしたため、夜勤スタッフが駆けつけると、ベッドの脇でAさんが仰向けに倒れている。呼びかけに対して「トイレに行こうとして転倒した」と応答あるが、右太ももに痛みがあったため、介助にてベッドへ移り横になる。
なにをした 看護師に連絡しバイタル測定の指示を受ける。正常値であることを看護師に報告。翌朝までシップ対応し安静指示を受ける。様子観察を行い、午後11時45分管理者およびご家族に電話で報告する。翌朝看護師が全身状況と動作の確認を実施。受診の必要なく、同日事故防止委員会にて再発予防策を検討する。結果を管理者、ご家族に報告する。

<ポイント>
●事故を発見したときの様子は客観的に記載します。
●対応した行動は時系列で記録し、関係者や報告先は具体的に書いておきましょう。

ケース2.デイサービスで誤嚥したBさんの場合

いつ 令和〇年12月8日 午後12時30分ごろ
どこで デイサービス ホール
だれが Bさん(92歳女性 要介護4)
どのように Bさんが昼食の途中に手が止まったため、介護スタッフが食事介助を行った。スタッフが一口ずつ飲み込んだことを確認せずスプーンで食事を口元に運び続けた結果、煮物のこんにゃくを喉に詰まらせ、Bさんは意識喪失状態になった。そばにいた看護師がタッピング、吸引をして窒息物を除去し、Bさんがしばらく安静にしていると意識が戻る。
なにをした 管理者、ケアマネジャー、ご家族に電話連絡する。ご家族から引き続きデイサービスの利用希望があったため、16時まで様子観察を行い同日自宅に送迎する。翌日事業所で食事介助、誤嚥に関する研修を行い、Bさんへの食事介助は飲み込みを確認してから、一口ずつ行うことを再確認した。

<ポイント>
●対応したスタッフが責められないように、客観的な事実のみ記録します。
●研修など全体での情報共有した内容があれば、具体的に記載しておきましょう。

ケース3.訪問先で物品を壊したヘルパーの場合

いつ 令和〇年1月8日 午後16時30分ごろ
どこで Cさんの自宅
だれが ヘルパーT
どのように Cさんの排泄介助に訪問したヘルパーTが、ベッド上で体位交換をした際に、枕元にあった目覚まし時計を落として壊してしまう。
なにをした Cさんは、安物だから問題ないと言っているが、部屋には他に時計がなく、生活する上でも不便である。サービス提供責任者と協議し、新しい目覚まし時計(同じデジタル時計)を購入する。17時30分ヘルパーTとサービス提供責任者でCさん宅を訪問し、お詫びすると同時にこちらが用意した目覚まし時計を渡す。18時一連の内容について、担当ケアマネジャーと遠方の長男に電話で報告し、長男からは「気にしなくてもいいですよ」と言われた。 翌日ヘルパー定例会にて情報共有し、作業前の安全確認について再確認を行う。

<ポイント>
●具体的な時間が分かれば記載します。迅速な対応が具体的に分かります。
●ご本人やご家族の具体的な反応は、口語体でそのまま記載しましょう。

ケース4.FAXのあて先を間違えた事務員の場合

いつ 令和〇年2月2日 午前10時30分ごろ
どこで 〇〇事業所 1階事務室
だれが 事務員D
どのように 事務員Dが、F事業所に対して、前月デイサービスを利用した利用者5名のサービス提供実績をFAXしたところ、F事業所から電話があり、報告した5名の利用者は、P事業所の担当であり、あて先を間違えてFAXを送っていたことが分かった。
なにをした 同日10時40分に事務長に報告し、事務員DがF事業所に誤送信したFAX用紙を回収しに行く。10時40分事務長よりF事業所に誤って報告した5名の利用者に謝罪の電話をかける。5名の利用者、ご家族は対応の内容と再発予防策(短縮ダイヤル登録)について納得する。11時事務員Dより5名を担当するケアマネジャーに、事故の内容、再発予防、ご家族とのやり取りを電話にて報告をする。

<ポイント>
●対応手段(電話、訪問、手紙など)は具体的に記録しましょう。

ケース5.ショートステイ利用者に誤薬した看護師の場合

いつ 令和〇年5月8日 午後12時40分ごろ
どこで ショートステイ食堂ホール
だれが Eさん(82歳男性 要介護3)
どのように 本日から利用していたEさんに対して、看護師が昼食後の薬を同じ名字である他の利用者の薬を間違えて飲ませてしまう。
なにをした 12時40分管理者の指示のもと看護師がかかりつけ医に電話で報告し、対応方法を確認する。下剤であるため、しばらく様子を見るよう指示を受け、事業所内のスタッフ間で情報共有する。12時45分管理者からご家族に電話で報告し、様子を見ることを伝える。
なお、管理者からもともと下剤を飲むはずだった利用者さんのご家族に電話にて説明し謝罪する。同じ薬を余分に持参していたため、使用してもらったらよいと承諾を得る。
同日夕食から看護師、介護スタッフによる配薬時の二重確認を実施する。
(第2報 5月9日午後14時)
Eさんの体調に変化はなく、排泄状況も特に問題ない。管理者よりかかりつけ医、ご家族に電話で報告する。

<ポイント>
●誰が見ても分かりやすい表現で記録しましょう。
●第1報では分からない内容は第2報として報告します。

事故報告書を活かして、ケアの質を上げよう!

事故報告書を活かして、ケアの質を上げよう!

事故が起こった際に重要なのは、スタッフ全員で「何が悪かったのか」「どうすればよかったのか」ということを丁寧に振り返ることです。そうすることで再発予防策を多角的かつ具体的に検討できるため、事故の防止につながります。

原因分析をするために事故報告書を活用する場合、ICTや画像を活用しながら半期や年ごとに集計することで、事故が頻発している時間帯や多発する場所を見える化することが可能です。

コニカミノルタのHitomeQ ケアサポートを導入すれば、行動分析センサーにより事故発生時の映像確認や原因分析、再発防止策の検討が迅速かつ正確に行えます。
分析結果により人材不足やハード面に課題が見つかれば、適切な人員配置や環境整備を行い、事故の発生を未然に防止することにつながります。事業所としてケアの質を向上させるためには、一つ一つの事例を財産と捉えて、失敗を学びに変える姿勢が最も重要です。

蓄積された貴重な事故報告書を活かすために、ぜひHitomeQ ケアサポートをご活用ください。

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