介護現場のヒヤリハットへの対処法とは?
事例や報告書の書き方を解説

介護現場のヒヤリハットへの対処法とは?事例や報告書の書き方を解説

介護でのヒヤリハットとは、介護における「ヒヤリ」「ハッ」とするシチュエーションのことです。事故につながる兆候と考えられるため、対策しなければなりません。
本記事では介護でヒヤリハットが生じる要因・事例・報告書の記入方法・予防の仕方などを解説します。

目 次

  1. 介護現場のヒヤリハットとは?
  2. 介護現場のヒヤリハットが起こる3つの要因
  3. 4つのシチュエーション別ヒヤリハット事例
  4. ヒヤリハット報告書を書く4つの目的
  5. ヒヤリハット報告書の書き方
  6. ヒヤリハット予防に有効な見守りシステムの導入

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介護現場のヒヤリハットとは?

介護現場のヒヤリハットとは?

介護現場でのヒヤリハットとは、事故につながるような「ヒヤリ」「ハッ」とする状況のことです。事故には至らなくても、事故が起こる兆候と考えられるため、ヒヤリハットが起こった場合には、報告して施設内で共有し、要因を究明しなければなりません。

ここではまず介護現場のヒヤリハットの定義とヒヤリハットに注目すべき理由について、解説します。

介護現場のヒヤリハットの定義

介護現場のヒヤリハットとは、事故に至る可能性があるできごとを表す言葉です。「ヒヤリ」「ハッ」としたことがヒヤリハットの名前の由来となっていることからもわかるように、介護施設のスタッフが発見・遭遇したできごとを指します。

事故に至る可能性のあるできごとが起こったとしても、後日に発覚するなど、発生時にスタッフが発見しなかった場合には、ヒヤリハットには該当しません。
事故に至る可能性のあるできごと全般をインシデントと呼び、その中でスタッフが発生を認識したものがヒヤリハットです。

ヒヤリハットに注目すべき理由

1件の重大な事故の裏には29件の軽微な事故と300件の事故になってもおかしくないできごとが存在していると「ハインリッヒの法則」で示されています。この法則は、統計分析の専門家・ハーバート・ウィリアム・ハインリッヒが発表したものです。

この法則が示唆するのは、事故に至らなかったできごとに注目して対策を講じることで、事故件数を抑えられるということです。介護現場のヒヤリハットの情報を共有・分析して対策することが、事故を未然に防ぐ上で有効といえます。

介護現場のヒヤリハットが起こる3つの要因

介護現場のヒヤリハットが起こる3つの要因

介護現場でヒヤリハットが起こる要因はいくつか考えられます。人的な要因としてあげられるのは、施設の利用者本人によるもの、施設のスタッフによるもの、利用者の家族によるものです。

この他にも介護施設を取り巻く環境、施設の設備の不備や老朽化などに起因するものもあります。それぞれの要因について、詳しく解説していきましょう。

1.施設の利用者

施設の利用者がヒヤリハットの要因となっているケースは少なくありません。特に多いのは、足が不自由であることや認知症による、転倒や転落事故です。この他にも、食事・入浴・排泄がひとりでは困難な利用者の事故にも注意が必要です。
利用者ひとりひとりの状況や体力を把握するのはもちろんのこと、日々のコンディションを丁寧に確認して、介護に携わることが求められます。

2.スタッフや家族

スタッフや利用者の家族がヒヤリハットの要因となる場合もあります。介護業界では人手不足が慢性化しており、スタッフの負担が大きくなる傾向があります。そのため、疲労によるスタッフの集中力や注意力の低下が、ヒヤリハットにつながるケースも考えられるでしょう。
利用者の家族が施設に訪れて一時的にスタッフに代わって介護を行う場合にも、同様にヒヤリハットの要因となる可能性があります。

3.施設の環境・設備

介護施設の環境や設備がヒヤリハットの要因となる場合もあります。玄関の出入り口や通路で転倒してしまう、車椅子の車体に体が引っかかってしまうといったケースです。施設の構造上の問題や設備の不備がある場合には、すみやかに改善する必要があります。
また、すぐに改善できない時にはどこが危ないのか事前にリスクを把握して、回避・軽減することが重要です。

4つのシチュエーション別ヒヤリハット事例

4つのシチュエーション別ヒヤリハット事例

ヒヤリハットを防止するためには、ヒヤリハットがどんな状況で起こっているのかを把握しておく必要があります。多くのケースは共通している要素があるため、よく起こっている事例を踏まえて対策すると効率的です。

ここでは入浴とトイレ、食事と服薬、着替え、移乗と屋外移動という4つのシチュエーションに分けて、それぞれの事例を解説します。

1.入浴・トイレ

入浴時のヒヤリハットで多いのは、床ですべって転倒するケースです。シャンプーやボディソープなどが床に残っているとすべりやすくなるので、注意しなければなりません。冷水や熱水が体にかかってしまったケースもあります。丁寧に確認しましょう。
トイレで多いヒヤリハットは、ドアに手足をはさんでしまうケースと、便座から転落してしまうケースです。トイレ介助をする場合は、利用者のそばにいてすぐに対応できるように備えておく必要があります。

2.食事・服薬

食事で多いヒヤリハットは、隣の人の食べ物を間違って食べてしまったというケースです。席に案内する際にスタッフが確認する、気を配っておくなどの対応が必要となるでしょう。
服薬でのヒヤリハットもあります。他の利用者の薬を誤って飲んだ、違う時間帯の薬を飲んだ、量を間違えたなどです。間違える可能性の高い利用者にはダブルチェックして手渡しし、飲み終わるところまでの確認が求められます。

3.着替え

着替えの際にも、ヒヤリハットが発生する可能性があります。椅子やベッドに座った状態で靴下をはこうとして転倒したという事例も少なくありません。態勢を整えてから、着替えをしてもらうように、サポートするようにします。
また、ファスナーで皮膚をはさんでしまったという事例もあります。衣服に金属が付いているかもしれないと想定して、確認する必要があるでしょう。

4.移乗と屋外移動

車いすへの移乗の際に、ヒヤリハットが起こった事例もあります。フットレストを上げずに移乗して車いすごと転倒してしまった、フットレストから足が落ちている状態で車いすを押してしまったケースなどです。移乗が完全に済んでいることを確認することが必要です。
屋外移動中は大きな事故につながる可能性もあるので、特に注意しなければなりません。歩道の段差に気づかず、車いすごと転倒したという事例もあります。屋外ではスピードを緩めて、前後左右をよく確認する必要があります。

ヒヤリハット報告書を書く4つの目的

ヒヤリハット報告書を書く4つの目的

ヒヤリハットが起こった時には報告書を書きます。ヒヤリハットをミスと考えて報告せずに済ませてしまうと、事故につながる場合があるからです。

報告書を書く上ではいくつかの目的があります。おもな目的は以下の4つです。

  • 原因の明確化と事故の防止
  • 情報の共有
  • 介護の適切さの証明
  • ケアの質の向上

それぞれ詳しく解説します。

1.原因の明確化と事故の防止

ヒヤリハット報告書を書く大きな目的は、ヒヤリハットの原因を明確にすることと事故の防止をすることです。原因を明確にすることで、事故を防ぐための分析がしやすくなります。
さらに、報告書の内容をデータ化することによって、より詳細な分析も可能になるでしょう。データに基づいて適切な対策を立て、ヒヤリハットの要因をなくすことが事故の防止につながります。

2.情報の共有

ヒヤリハット報告書を書くことのもう一つの大きな目的となっているのは、施設スタッフ全員での情報の共有です。ヒヤリハットはスタッフや利用者個人の問題ではありません。施設全体の問題であり、全員が同じ目的意識を持って連携しながら対策を立てる必要があります。
報告書の内容を確認することにより、スタッフ間で認識のズレがあった場合には修正できます。

3.介護の適切さの証明

ヒヤリハット報告書は事故の防止が大きな目的ですが、万が一事故が起きてしまった場合に、日常的に事故を防止する取り組みを行っていたことの証しにもなります。
ヒヤリハット報告書は、行政や利用者の家族に対して施設の介護対応の適切さの証明になるという点でも意味のあるものです。介護スタッフを守る役割を果たすことも期待できるでしょう。

4.ケアの質の向上

ヒヤリハット報告書によって起こった要因をスタッフ全員で共有することによって、施設全体で対策に取り組むことができます。なぜヒヤリハットが起こったのか、人員配置は適切だったのか、利用者の状況を理解していたのかなど、要因の把握が対策の第一歩です。
施設全体で対策に取り組むことは、ケアの質の向上にもつながることが期待できます。

コニカミノルタのHitomeQ ケアサポートは利用者の行動を分析し、ヒヤリハットの正確な状況を把握でき、報告書の作成、事故の防止などで活用できます。

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ヒヤリハット報告書の書き方

ヒヤリハット報告書の書き方

ヒヤリハット報告書の書き方で注意するべき点は、見たことの感想をそのまま書かないことです。前述したように、ヒヤリハット報告書には原因の明確化と事故の防止、施設内での情報の共有などの目的があることを踏まえておく必要があります。

ここでは報告書を書く上での具体的な注意点や、書くべき項目などを解説します。

簡潔に客観的にわかりやすく

ヒヤリハット報告書は施設内で共有するものなので、求められるのは簡潔でわかりやすく書かれていることです。無駄に長い文章は読む側の時間を奪うことになるため、必要な情報を適切に記述することが求められます。
注意しなければならないポイントは、主観をできるだけ避けて、客観的な事実を書くことです。観察力も必要となるでしょう。

ヒヤリハット報告書を作成する上での必須項目は以下の6つです。5W1Hと覚えておくとよいでしょう。

  • 発生した日時(When)
  • 発生した場所と場面(Where)
  • ヒヤリハット対象者の名前(Who)
  • 問題となったこと(What)
  • 発生した要因(Why)
  • 発生時の対処の仕方(How)

誰が読んでも理解できること、全体像が把握できることを意識して、記憶が鮮明なうちに、早めに書くべきでしょう。

ヒヤリハット予防に有効な見守りシステムの導入

ヒヤリハット予防に有効な見守りシステムの導入

ヒヤリハットを予防するためには、ヒヤリハットが発生した場合に報告書を書いて状況を把握し適切な対策を取ることが求められます。しかし、限られた人員で、すべてのサポートをするのが困難な場合もあるでしょう。

事故の予防には見守りシステムの導入が有効です。コニカミノルタのHitomeQ ケアサポートでは居室の天井に取り付けたセンサーで利用者の行動を分析し、起床時や離床時の注意行動を通知する機能や利用者の転倒・転落の自動録画機能があります。
ヒヤリハットの正確な状況を把握でき、報告書の作成、事故の防止などで活用できます。

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