介護職の適切な指導方法とは?
「育てて定着させる」ポイントを解説

介護職の適切な指導方法とは?「育てて定着させる」ポイントを解説

介護施設では適切な指導方法を導入して優秀な人材を育てることが重要な課題です。介護職の人材不足が深刻化する状況で、人材の充実こそが介護施設のサービス向上に直結するからです。

この記事では「育てて定着させる」介護の指導方法のポイントを解説します。

介護の指導者が最初に指導すべきこと

介護の指導者が最初に指導すべきこと

介護の指導者が新人スタッフに最初に教えるべきことは、介護職の心構えと介護事故防止の重要性です。明確な目的意識や危機意識を持つことによって、どんな知識や技術を身に付ける必要があるのかが明確になり、学習意欲の向上が期待できます。

なんのために学ぶのかを理解することによって、モチベーションの維持にもつながるでしょう。それぞれについて詳しく説明します。

介護職の心構えを教える

介護の指導者が最初に新人スタッフに教えるべきなのは、介護職の心構えです。介護職とは入居者の快適な生活をサポートするサービス業であり、質の高いサービスを提供するためには、入居者と信頼関係を築くことが不可欠となります。

入居者に対する物理的なケアはもちろん、精神的なケアも必要です。介護職がさまざまな状況に対応しなければならない専門職であることを理解することで、学びへのモチベーションが高くなり、早期退職を抑止する効果も期待できるでしょう。

介護事故防止の重要性を説明する

介護事故防止は介護施設にとって特に重要な課題です。スタッフの知識や技術の未熟さによって、入居者の転倒や誤嚥、介助中の事故が起こるケースも少なくありません。最初に、介護事故防止のリスクマネジメントの重要性を認識してもらうことが大切です。

リスクマネジメントに対する意識の向上が、スタッフの知識と技術の向上の第一歩となります。

新人スタッフの指導方法5つのステップ

新人スタッフの指導方法5つのステップ

新人スタッフの指導で求められるのは、現場で即戦力になる人材を早期に育成することでしょう。介護施設の現場の多くで、慢性的な人手不足が課題となっているからです。以下の5つのステップに沿って指導することが基本になります。

  1. 育成計画を作成する
  2. 手本を示してレクチャーする
  3. 実施(OJT)を繰り返す
  4. 実施結果をヒアリングする
  5. 評価とフィードバックをする

それぞれについて解説します。

1.育成計画を作成する

最初に育成計画を作成します。ここで重要なポイントが、明確なゴールと期間を設定することです。新人スタッフに求めるものと、達成までの期間を明確化します。期間は1ヵ月、3ヵ月、6ヵ月、1年と細かく区切って計画を立てるとよいでしょう。 なお、育成計画を作成する際には「いつ」「誰が」「どのように」指導するのかを盛り込むことも重要なポイントです。

2.手本を示してレクチャーする

1で立てた育成計画をもとに、指導員が実際に新人スタッフへ手本を示しながら、レクチャーしていきます。介護職の技術の多くは、言葉で説明するだけでは理解することが難しいからです。 この場合、現場で実際に介護しながらのレクチャーになるため、新人スタッフは技術以外にも入居者との接し方やコミュニケーションの取り方などが学べます。

3.実施(OJT)を繰り返す

スタッフの育成において重要なことは、実施(OJT)を繰り返すことでしょう。何度も繰り返さなければ、身につかないことがたくさんあるからです。なお、OJTとは「On-the-Job Training」の略語で、職場での実践により知識や技術を身につける育成手法を意味します。 指導員が見ているもので、実施することも重要なポイントです。

4.実施結果をヒアリングする

実施をした後に、新人スタッフに感触や感想をヒアリングします。新人育成においては、振り返りが重要な作業だからです。「どのようなことに難しさを感じたのか」「どのようなことに不安を感じているのか」について本人が理解した内容が、次回のトレーニングに活かされます。
また、新人スタッフの不安を解消のために適切なアドバイスをすることも、育成においては大切です。

5.評価とフィードバックをする

指導職員は新人スタッフに対しての評価とフィードバックを行います。網羅的に評価するためには、チェックシートの活用がおすすめです。介護職員として働く上で必要な介護技術や日常業務のスキル、接遇マナーなどをリスト化してチェックしましょう。
フィードバックでは良かった点と改善点を伝えます。目標に対して「現時点でどの程度できているか」「何が必要なのか」など、できるだけ具体的に伝えるようにしましょう。

介護の指導で注意すべき5つのポイント

介護の指導で注意すべき5つのポイント

介護職の指導では即戦力が求められるため、スピード感を重視することも大切ですが、長く働いてもらうためには、さまざまな配慮が必要となります。指導をする上での主な注意点は以下の5つです。

  1. 新人スタッフの不安やプレッシャーを理解する
  2. 叱りかたに気を配る
  3. 効果的に褒める
  4. 明確かつ具体的な指示を意識する
  5. 先入観を持たずに指導する

それぞれ詳しく解説しましょう。

1.新人スタッフの不安やプレッシャーを理解する

育成指導において、新人スタッフの不安やプレッシャーを理解することはとても重要です。慣れない環境の中で未体験の仕事をする場合に、不安やプレッシャーがあるのは当然でしょう。
そのため、指導中は積極的に声をかけてコミュニケーションをとることが求められます。担当者の新人時代に心がけたことなど、体験談を語るのもよいでしょう。新人スタッフが質問や相談をしやすい環境を作ることも大切です。

2.叱りかたに気を配る

育成指導では、叱りかたに気を配る必要があります。新人のモチベーションを下げてしまっては意味がないからです。新人にとっては、叱られることが大きなプレッシャーになることも考えられるので、十分な配慮が必要になります。
「誰もいないところで叱る」「どこがどういけなかったのか具体的に指摘して叱る」「感情的にならない」ことが大切です。叱ることはあくまでも指導の一環であり、相手の成長を促すものであることを認識しなければなりません。

3.効果的に褒める

効果的に褒めることで、新人スタッフのやる気を引き出し成長を促せます。新人に自信をつけるという意味でも、褒めることは効果的です。
ただし、効果的に褒めるためには、新人をしっかり観察しなければなりません。また、褒めるべきポイントの見極めも大切です。例えば、目立たない努力を褒めることによって、「しっかり見てくれている」ことを新人スタッフに実感してもらえるでしょう。

4.明確かつ具体的な指示を意識する

新人スタッフに対する指示は明確、かつ具体的であることを意識することが大切です。介護業界には、専門用語が数多くあります。また、業務に従事する介護施設の独自用語もあるかもしれません。 指示がうまく伝わらなかったときには、伝える側に問題がある場合もあります。相手に確実に伝わるように、わかりやすく具体的に指示を出すように心がけましょう。

5.先入観を持たずに指導する

新人スタッフを指導する場合には先入観を持たないことが重要です。「これくらいのことはわかっているはずだろう」という思い込みが、大きなミスにつながらないとも限りません。 逆に相手がわかっていることなのに、こと細かに指示を出して、モチベーションを下げてしまうこともあるでしょう。新人スタッフと十分にコミュニケーションを取って、先入観を持たずに、相手のレベルに合った適切な指導をすることが求められます。

新人スタッフを定着させる指導方法とは

新人スタッフを定着させる指導方法とは

介護職の指導において、新人スタッフの成長を促すことと同じくらい重要なことが、早期離職の防止です。せっかく時間をかけて育成しても、新人が早期に離職してしまっては意味がありません。

定着率を高めるためには、主に2つの方法があります。研修制度やICTの導入で教育環境を整備することが1つ。もう1つが目標を設定して新人のモチベーション向上の工夫をすることです。それぞれについて解説します。

研修制度やICTの導入で教育環境を整備

新人スタッフの離職を防ぐためには、成長できる環境を整備することが有効でしょう。成長を促すことが、介護という仕事へのやりがいを実感することにつながるからです。スタッフの研修制度を充実させることの他に、ICTの導入という選択肢もあります。

コニカミノルタが提供しているHitomeQ ケアサポートを導入することで、入居者の「転倒・転落」などの行動情報や「食事・水分量」「服薬」「排泄」「リハビリ情報」などの記録情報が収集できます。また、転倒・転落時に自動保存された動画の確認も可能です。

これらのデータや映像に基づいて、最適なタイミングでの最適なケアを判断できるため、効率的な教育が可能になるでしょう。

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目標設定しモチベーション向上の工夫をする

目標設定して、新人スタッフのモチベーションを高めることで、離職を防止する効果が期待できます。目標を設定することにより、やるべきことが明確になり、職務に集中できるからです。

設定した目標をクリアして、達成感を感じることはモチベーションの向上にもつながるでしょう。介護職員処遇改善加算や介護福祉士などの資格取得を目標として設定し、達成した場合には評価に反映させるなど、指導する側にも工夫が必要です。

介護の指導方法を確立して優秀な人材を育てよう

介護の指導方法を確立して優秀な人材を育てよう

介護サービスの質を向上させるためには、優秀な人材を育成して定着してもらうことが必要です。育成計画の立案、手本を示してのレクチャー、実施の繰り返し、さらには新人スタッフのヒアリング、評価、フィードバックなど、指導する側にも高い技術と意識が求められるでしょう。優秀な人材を育てるためには、指導方法の改善が求められます。

また、介護市場における慢性的な人手不足は、すぐには解消されません。HitomeQ ケアサポートを導入することによって、指導する側の人手不足を補いながら、効率的な人材育成を実施してみてはいかがでしょう。

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