介護現場で活躍するナースコールシステムのICT技術によるDX化とは?

介護現場で活躍するナースコールシステムのICT技術によるDX化とは?

ナースコールとは、医療施設や介護施設において、利用者がスタッフを呼び出すためのツールです。その歴史は思いのほか古く、近代看護教育の母として知られるフローレンス・ナイチンゲールが原型を発明しました。

利用者への迅速な対応に欠かせないナースコールですが、近年では多様な緊急対応をしたいという需要と通信機器の発展が相まって、各業界で進められているDXをナースコールのシステムで活用する動きが加速しています。スマホと連携できるサービス等、どういったサービスが生まれているのか紹介していきます。

ナースコールの仕組み・使い方

ナースコールは利用者の手元にボタンを置き、押すとスタッフと会話をしたり呼び出したりすることができる仕組みです。

具体的な使い方は以下の通りです。

  1. 利用者がナースコールのボタンを押す
  2. スタッフステーション等にある親機、またはスタッフが所持する子機に通知
  3. 利用者がいる居室の廊下に設置された表示灯が点灯し、該当部屋を把握できるようになる
  4. 親機または子機を利用してスタッフが利用者と通話
  5. 対応が終了した後は復帰ボタンを押し、表示灯を解除

介護現場におけるナースコールシステムの限界

今や医療・介護の現場に必要不可欠なナースコール。しかしその一方、介護の現場ではシステムの活用に限界があり、多くの介護事業所では頭を悩ませています。問題となっている事例について紹介します。

転倒事故・徘徊への対応・事前防止には難しい

ナースコールは利用者がボタンを押すことで成り立っているシステムです。ですので、転倒してしまった方、徘徊(はいかい)している方への対応が難しく事前に防止することが難しいのです。

高齢者を中心とする認知症をお持ちの方はナースコールの使用が難しい

認知症をお持ちの方の場合、ナースコールの利用方法が理解できない方もいます。そういった場合も困ったときにナースコールを押すということがないため使用が困難です。逆に同じ利用者が頻回にナースコールをしてきて、他の利用者への対応が遅れてしまうといった問題もあります。

ナースコールと組み合わせて解決する介護現場の機器導入の実情

介護施設特有の問題が浮き彫りになったことで、登場したのが離床センサーです。既存のシステムではカバーしきれなかった、ベッドから離れた利用者を速やかに知ることができます。介護現場での運用に特化したこのシステムは、多くの施設で導入されています。

ナースコール単体ではカバーしきれない離床センサーの導入を検討する

徘徊(はいかい)前の事前察知やベッドからの転倒を感知する離床センサーは、特にスタッフの人数が少ない夜間に効果を発揮します。スタッフの労力を大幅に削減できるため、未導入の場合はぜひ検討してみてください。

対象者の状況や施設条件に応じた離床センサーの種類・製品を探す

離床センサーと一口に言っても、さまざまな種類があります。ベッドから降りる際に足を着く場所にマットを敷くタイプやベッドにセンサーパッドを敷くタイプ、ベッドの柵にセンサーパッドを巻くタイプ、さらには赤外線で離床を感知するタイプまで。現在はさまざまな種類・製品が登場しているので、施設条件に応じて最適なものを探しましょう。

必要な機能を網羅した離床センサー製品のイニシャル・ランニングコストに悩む

ただ、離床センサーはセンサーパッドの耐用年数が数年しかないものが多く、ランニングコストがかかるというデメリットもあります。ベッド数が多い事業所ほどそのコストは重くなるため、導入に足踏みしてしまう例も。結果、スタッフの労力が減らず離職者が増え、人材不足に歯止めがかからないという事態を招いてしまうことにもなります。

さらに悩みの種となるナースコール設備の耐用年数

ナースコールには国が定めた法定耐用年数がありません。ただ、製造機器メーカーでは10年前後を耐用年数としている場合が多く、耐用年数が過ぎるとパーツ等も廃番となってしまい修理ができなくなる可能性があります。

利用者の命を預かる大事なシステムであるため、事故があってからナースコールが故障をしていたということがあってはなりません。10年前後が経過したナースコールは切り替えを検討するようにしましょう。

科学的介護や介護のDX化の波によるソリューションとしてのIT機器の普及

IT機器を活用して介護スタッフの負担を軽減し、業務の効率化を図る取り組みが進められています。具体的にどういった機器が開発されているのか見ていきましょう。

ケアプラン作成にも適した介護記録のICT機器導入

スタッフが介護に専念するためには、事務作業の効率化も欠かせません。ケアプランや、介護記録の作成を支援するICT機器は今後普及が期待される分野です。AI学習を利用して利用者に必要なサービスや課題を提案してケアプランを作成したり、過去データを基に書類作成の手間を軽減したり、事務作業に取られていた時間を大幅に削減することでより質の高い介護を提供することができるでしょう。

見守りロボットを始めとしたIoT機器の導入

介護現場で期待されるIoT機器として、すでに導入が進んでいるのが見守り分野。先ほど紹介したセンサーパッドもその1つです。現在はさらに一歩先行くサービスも増えていて、利用者に接触せず見守るサービス、排泄(はいせつ)支援等でスタッフの負担軽減が期待されています。

介護のDXに関する製品が多岐に渡るからこそ何を選ぶべきかという悩み

介護のDX化は今後加速することは間違いありませんが、関連した製品が多く登場して内容も複雑で自社にとってどういったシステムが必要か選ぶことが難しくなっています。
事務作業を効率化したい、ケアプランや訪問計画書の作成支援をしてほしい、見守りシステムを導入したいと、どれもスタッフの作業軽減のために取り入れたいけれど予算の問題が……と頭を悩ませる施設長も多いかと思います。実際にどのサービスを取り入れたらもっとも効果的に負担が減るのか等を検討してみてください。

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