介護現場の実務負担を軽減するICT・ロボット技術を
施設運営の経営負担にしない方法

介護現場の実務負担を軽減するICT・ロボット技術を施設運営の経営負担にしない方法

介護ロボットなどの最新テクノロジーによる介護負担の軽減について、昨今耳にする機会が増えているのではないでしょうか。施設運営の実務面でメリットがあることはわかっていても、いざ導入するとなると、運用メリットと経営の実状とのバランスは非常に悩ましい問題です。

そこで、本記事では、今どのような種類のシステム・サービスがあり、負担軽減のためにできることは何なのか、そして何から手をつけていくと効果的なのかということについて、自社サービスの紹介も含め、詳しく解説していきます。

目 次

  1. 介護現場の実務負担を軽減するための技術・システム・サービスの例
  2. 介護現場のDX化基調による実務負担軽減の波は、逆に施設運営の負担にも
  3. 介護のDX化はまずはエビデンスに基づく業務改善から
  4. 介護現場の負担軽減を目的としたシステム・サービスの選定ポイント
  5. 介護現場の負担軽減の費用対効果の指標
  6. 介護におけるICT・ロボット技術に関する補助金・助成金
  7. 介護のDX化の波にさらわれず、本当に現場な必要なシステム・サービスの導入を

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介護現場の実務負担を軽減するための 技術・システム・サービスの例

まずは、具体的にどのようなものが介護の現場で活用されているのか、便利な機能が備わった最新システムの一例をご紹介します。

装着型パワーアシスト

「装着型パワーアシスト」には、介護スタッフが装着するものと、被介護者が装着するものの2パターンがあります。どちらも、装着した人の身体的負担を減らすことが目的です。介護スタッフ用のものは、被介護者を抱える際の腰の負担を軽減してくれます。
また、筋力の弱い被介護者向けに、立ち上がるときや歩くときのサポートをしてくれるものもあります。

歩行アシストカート

高齢者が外出する際の歩行を助けてくれるのが「歩行アシストカート」。手押し車にモーターがついた構造の機器で、上り坂を歩く際にはパワフルな「動く手すり」に、下り坂を歩く際にはブレーキ制御による「支え」となります。自分の足で歩けるけれど、外出には少し不安があるという高齢者の方の強い味方になってくれるでしょう。

自動排せつ処理装置

要介護者の居室に設置して、排せつ物の処理を自動で行ってくれる「自動排せつ処理装置」というものもあります。脱臭機能がついており、室内ににおいが広がることはありません。おむつよりも衛生的である上に、夜間排せつ時の介護が不要となるため、介護者の負担も減らすことができる優れものです。

見守りセンサー

「見守りセンサー」とは、要介護者の居室などに設置することで、離床や移動などの動きを検知して事故を未然に防ぐ機能です。センサーやカメラを備えており、要介護者の様子を昼夜問わず24時間いつでも自動でチェックしてくれる画期的なサービスだといえます。

介護現場のDX化基調による実務負担軽減の波は、 逆に施設運営の負担にも

近年、介護の現場にもこうしたIT技術を取り入れようというDX(デジタルトランスフォーメーション)化の波が押し寄せてきています。実際にDX化をすれば、生産性の向上やスタッフの負荷分散など、得られるメリットは計り知れません。

しかし、DX化を検討する前に、本当に自施設にとって必要なサービスがどれなのか、しっかり見極めるというプロセスがとても重要です。助成金もあるとはいえ、導入にかかるコストは間違いなく経営負担としてのしかかってきます。DX化という波が、かえって経営難などの厳しい現実をもたらすことを懸念する施設長・経営者の方も多いのではないでしょうか。

介護のDX化はまずはエビデンスに基づく 業務改善から

DX化を成功させるためには、現在の課題をしっかり把握したうえで、まずは自分たちの工夫だけで改善できることはないのか、現状を見直すことから始めましょう。

その上で、本当にDX化が必要なのかどうか見極めることが成功の鍵となります。

介護ロボットなどの導入検討前にまずは生産性の課題を明確化する

最初に行うべきことは、今の課題を明確にすることです。経営者側の意見だけではなく、現場で実際に介護にあたるスタッフや管理者の意見もしっかりヒアリングし、現状どのような課題があるのか、その原因は何なのか、様々な角度から突き詰めて検討してみましょう。

業務フロー自体の課題により実務負担が大きくなっていることが多い

明確に課題が見えてきたところで、次に着目したいのが実際の業務フローです。プロセスを一度可視化してみると、案外無駄な業務があったり、明確なルールが定められていなかったりと、業務フロー自体の問題が判明することも多々あります。

まずは自分たちで解決できる改善点はないのか、業務フローの洗い出しから始めてみるといいでしょう。

介護ロボットなどの設備インフラを整える前に業務フローを見直す

介護ロボットなどの大がかりな設備を導入するためには、莫大なコストが必要となります。その前に、今の課題は何なのかということを整理してみると、業務フロー上の問題がおのずと見えてきます。最新技術に頼ることもひとつの手ですが、今あるヒト・モノで改善できることはないのか、まずはそこから見直していくことが肝要です。

弊社では、専門スタッフによる的確な業務診断から、ワークフローの効率化までワンストップのサービスが提供可能です。こちらも検討に入れてみてはいかがでしょうか。

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介護現場の負担軽減を目的としたシステム・サービスの選定ポイント

ここまでの前提を踏まえて、実際にシステム・サービスを導入する際にはどのような観点から検討すればいいのでしょうか。

そのポイントを大きく4つに分けて解説します。

施設の課題・目的に沿う機能を有しているか

この段階まで来れば、もう現状の課題や目的は明確になっているはずです。その上で、システム・サービスの導入によって何を解決したいのか、それぞれできる機能を確認しながら検討を始めてみましょう。 インターネット上で情報収集するだけでなく、そういったシステム・サービスを提供している会社に直接相談し、最適なプランを問い合わせてみるのもおすすめです。

誰にとっても使いやすいか

介護の現場には多くのスタッフが関わっています。実際に現場で使用するときのことを考えると、誰でも簡単に操作できるのかということは非常に大切なポイントです。 お試しができるサービスもあるので、現場スタッフに使用感を確かめてもらうといいでしょう。

トラブルに対するサポートは丁寧か

必ず確認しておきたいのがトラブル時の対応です。万が一故障が発生した際に対応が遅れるようなことがあれば、業務改善どころか、逆にスタッフの負担増加を引き起こすことも。
万全なアフターサポートが用意されているかという点にも注意しましょう。

導入がしやすい費用になっているか

いくら便利なシステム・サービスであっても、効果に見合わない費用では元も子もありません。
導入する際の費用はもちろんのこと、ランニングコストも考慮に入れて綿密に試算するようにしてください。

介護現場の負担軽減の費用対効果の指標

常に人手不足な介護現場にとっては、個々の負担軽減にこそコストを割きたいところです。その費用対効果を比較する際には、直接的なメリットだけでなく、新しいシステムの導入が引き起こす副次的な影響も重要な指標となります。

その項目をまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。

業務プロセスの改善

設備を増やすことで、逆に業務や手間が増えてしまうということも十分に考えられます。導入によって業務プロセスの負担が減らせるのか、増えるとしても、それに見合った十分な効果が見込めるのか、多角的に検討してみましょう。

スタッフの人材育成

新たなシステムの導入によって業務の負担が減れば、その余力を人材育成に充てることができるかもしれません。良質な介護人材の育成は、業界全体の課題でもあります。インフラ整備にコストをかけた分、人的資産の創成につながっていくのであれば、検討の価値が大いにあるといえます。

離職率の低下

現在の介護スタッフの離職率の高さは深刻な問題です。業務の効率化によって、スタッフ全員の負担感が抑えられれば、より働きやすい職場づくりが可能となります。職場環境の向上が全体的な離職率の低下につながるならば、その費用対効果は十分だと考えられるでしょう。

顧客満足度の向上

人を相手にする介護という職業の性質上、利用者の満足度は当然配慮すべきポイントです。現在の顧客の満足度が上がれば、今後の利用者増も期待することができます。設備投資により顧客の利便性や快適さが向上するのかどうか、しっかり現状を勘案して決断すべきでしょう。

介護におけるICT・ロボット技術に関する補助金・助成金

介護におけるICTやロボット技術は、深刻な少子高齢化を受けて、国を挙げて推進されている事業でもあります。
ここでは、ぜひ注目したい主な補助金や助成金についてご紹介します。

全国の補助金情報はこちら▶▶

介護ロボット導入支援事業(地域医療介護総合確保基金)

介護ロボットを導入しようとする介護保険施設・事業所向けに、各都道府県から補助金が支給される制度があります。
補助額は1機器につき30万円。60万円未満のものは、価格の半額が上限となります。補助の対象となるロボット台数は利用者数に応じて変動しますので、対象となる各自治体のサービス詳細を確認してみてください。

人材確保等支援助成金 介護福祉機器助成コース(厚生労働省職業安定局)

こちらは、厚生労働省が実施している制度です。介護福祉機器等を導入することで離職率低下に取り組んだ介護事業主に対して、150万円を上限に助成金が支払われます。
受給額は、「導入費用」「保守契約費」「機器使用の研修費」の合計額の20%となります。

さらに、労働生産性を高めたという一定の「生産性要件」を満たした場合は、助成金の額が35%に割り増しされるため、ぜひこちらもチャレンジしたいところです。

ただし、助成金を受給するためには、スタッフ数に応じて定められた離職率低下の目標値を達成する必要がありますので、詳しくは『厚生労働省のホームページ』にてしっかりと要件をチェックしてください。

業務改善助成金(厚生労働省 都道府県労働局)

こちらも厚生労働省が推進する助成金制度のひとつで、中小企業・小規模事業者向けに、生産性向上を支援するためのものです。

事業所内の最低賃金を引き上げた場合、そのためにかかった設備・機器の費用に対して助成金が支給されます。専門家による業務フローの見直しにかかった費用なども対象となりますので、これを見逃す手はないでしょう。

介護業界における事例としては、利用者送迎を効率化するために、引き上げリフト付き福祉車両を導入した際の設備投資費が助成金の対象となった例もあります。助成対象となるのは、事業所の規模が100人以下で、事業所内の最低賃金とその地域の最低賃金の差額が30円以内であるという2つの条件を満たす場合です。

そのほかにも様々な規定がありますが、上記に当てはまる場合は、『詳しい制度の内容』について一度確認してみることをおすすめします。

IT導入補助金(サービス等生産性向上IT導入支援事業)

こちらは、中小機構に措置されている補助金です。中小企業・小規模事業者等が、自社の課題に応じたITツールを導入した際、経費の一部に補助金が支給されます。DX化によって生産性の向上を目指す介護事業者には、うってつけの制度であるといえるでしょう。 補助金の限度額は30万円から450万円の間で、かかった費用の1/2までとなります。

IT技術の力を借りて、介護現場の業務効率化を図ろうと考えている場合は、ぜひ一度『申請』にチャレンジしてみてください。

介護のDX化の波にさらわれず、本当に現場な必要なシステム・サービスの導入を

慢性的な人材不足に悩まされている介護事業者にとって、スタッフの負担をすぐにでも軽減したいというのが切実な思いでしょう。DXという今までは聞き慣れなかった言葉も、昨今では当たり前に語られるようになってきました。

しかし同時に、いったいどこから手をつけたらよいかわからない、というのもよく語られるお悩みのひとつです。さらに、DX化の導入コストがかえって経営の負担にもなってしまったというケースも往々にしてあります。

そこでおすすめしたいのが、まずは業務プロセスの改善を目的として検討をスタートしてみることです。現状の問題点をしっかり把握した上で、必要なサービスとコストのバランスを、施設運営の経営的観点から考えてみていってはいかがでしょうか。

その一助となるのが、弊社のエビデンスに基づく業務改善サービスです。ぜひ、一度検討してみてください。

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