社会福祉法人寿敬会 大日山荘様
職員も家族も、“紹介したくなる” 施設づくりの舞台裏

社会福祉法人寿敬会 大日山荘様(和歌山県和歌山市)は、1981年6月に開設された特別養護老人ホームです。
2021年6月、新建屋へ移転・建替えのタイミングに、働きやすい環境づくりへの取り組みとして、HitomeQ ケアサポートを導入いただきました。
多床室80床、個室30床、ショートステイ20床の全130床でご利用いただいております。

社会福祉法人 寿敬会 大日山荘様
和歌山県和歌山市平尾2番地1

変化は負担軽減の第一歩

―― 導入に向けて、どのように全体をリードされたのでしょうか?

雲出さま 当施設の課題は、この2点でした。

✅ 転倒事故を減らしたい ✅ ナースコール対応の負担を軽減したい

転倒事故が発生すると、利用者様の安全確保に加え、事故対応・検証・報告・ご家族対応と多くの業務が発生し、スタッフの精神的負担も大きいものです。また、ナースコール対応では、スタッフステーションと居室間の移動が多く、業務の非効率性が課題でした。

社会福祉法人寿敬会
業務部長 雲出達也さま
※2025年4月時点の情報です。

課題の解決には、チームで取り組むことが重要だと考え、特に意識したのは次の2点です。

✅変化をポジティブに受け入れられる環境づくり

現場の課題を共有し、「変わることが負担軽減につながる」ことを伝えていきました。さらに、スタッフ自身が変化を実感・体験できるようにサポートすることを心がけていました。

✅チーム全体の負担を分散

新しい取り組みは通常業務に+αされるため、一部のスタッフに負担が集中しないよう配慮することを大切にしました。

相談しやすい職場づくりが成功のカギ

―― 導入に向けて、どのように現場をリードされたのでしょうか?

坂口さま 現場の課題を把握し、スタッフが気軽に相談できる体制を整えることが重要でした。そのために行ったのが、下記の工夫です。

✅中核スタッフをピックアップし、リーダーシップを発揮

日々の業務を担う職員の中から、相談役となる若手からベテランまで幅広いメンバーを選出しました。意識したことは、誰もが安心して意見を出せる環境を作っていくことでした。

社会福祉法人寿敬会
特別養護老人ホーム大日山荘
介護主任 坂口淳義さま
※2025年4月時点の情報です。

✅事前研修でシステム理解を深め、スムーズな導入へ

コニカミノルタが実施した導入前研修にリーダー職員も参加。システムを熟知した職員が現場でフォローできる体制を整え、スタッフが徐々に慣れていけるよう支援しました。

結果として、現場スタッフの疑問や課題をすぐに解決できる体制が整い、導入がスムーズに進んだと感じています。

転倒の原因を見える化▶エビデンス映像の活用で60%削減を実現

―― 転倒事故が発生したときの対応は、どう変わりましたか?

坂口さま 以前は、転倒直後の状態を見て推測で転倒原因を探り、対策を考えていました。しかし、導入後は事故の映像を確認でき、転倒の瞬間や原因を正確に把握できるように変わりました。その結果、

✅ 離床・臥床のタイミングの見直し
✅ ベッド周りの環境調整(ゴミ箱の位置変更など)
✅ 介護職員・看護師・生活相談員が連携、再発防止策を共有

こうした改善策を多職種で検討し、より効果的な対策を実施できるようになりました。さらに、法人内の各事業所が参加する危機管理委員会とリアルタイムで情報共有を行い、月1回の委員会で対策の妥当性を話し合う機会も設けています。

ナースコール対応がスムーズに▶利用者様をお待たせする時間が大幅短縮

―― ナースコール対応は、どう変わりましたか?

坂口さま 以前は、ナースコールが鳴るとスタッフステーションへ行って用件を確認し、その後対応する必要がありました。また、1つのコールに複数の職員が対応することも多く、業務の動線が非効率でした。

現在は、スマホでナースコールを確認でき、誰が対応しているかをリアルタイムで把握できます。通話機能を活用し、直接要件を聞けることで二重対応が減り、利用者様をお待たせすることが大幅に減少しました。

夜勤を多く入れても大丈夫!

―― 夜勤の負担は、どう変わりましたか?

坂口さま 夜勤帯は職員が少なく、精神的・肉体的な負担が大きい時間帯でした。
物音がするたびに「誰かが転倒したのでは?」と気を張り詰め、すぐに駆けつけていました。

しかし、HitomeQ導入後は、通知と静止画で状況を把握できるようになり、無駄な巡回や緊急対応が大幅に減りました。
以前は敬遠されがちだった夜勤に前向きな職員が増え、「夜勤を多く入れても大丈夫」「夜勤、代わりに入りますよ」といった声が聞かれるように変わっています。

職員の口コミ&紹介からの採用が増加

―― スタッフの定着率・採用面での変化はありましたか?

雲出さま 当施設はもともと離職率がそれほど高い事業所ではありませんでしたが、6~8%だった離職率が、ICT活用を積極的に行い「働きやすい環境の整備」を進めたことで2~3%に減少しました。また、採用面では見学時にICT活用の取り組みを説明すると、応募意欲が高まるケースが増えています。

現在、最も多い採用ルートは職員の口コミや紹介です。「働きにくい職場では、なかなか友人を紹介しない」 という前提を考えると、スタッフ自身が職場環境に満足していることの証でうれしく思っています。

コストだけで判断するのはもったいない

―― 2021年6月の全床導入から3年以上がたち、経営面のメリットはどのようなものがありますか?

雲出さま 和歌山県内でも早い段階で導入したことで、この地域では他施設と比較して圧倒的に優位性を持ち、差別化を図ることができました。 実際に感じたメリットをいくつかご紹介します。

✅ 待機者の確保がしやすくなった:利用者家族からの紹介増加
✅ 利用者・ご家族への透明性向上
✅ 重大事故による長期入院(空床)の減少
✅ スタッフ採用費の削減:紹介採用の増加により、年間100万円超を削減
✅ 適切な人員配置の実現:人件費率56%(全国平均65%),介護のみの人員配置(2.97:1)※介護補助員は別配置

導入を成功させるには、目的と長期的なビジョンが大事!

雲出さま 導入の意思決定で大切なのは、「システム導入の目的」と「期待する成果」が明確になっているかどうかです。

コストだけを考えると躊躇するかもしれませんが、職員の負担軽減や適切な人員配置によって見込めるコストダウンや離職率の問題など、 1年・3年・5年と長期的な視点で「どんな効果を出したいのか」を試算し、ROI(投資利益率)を見極めることが重要です。

また、システムを有効活用できなければ意味がないため、トレーニングやサポート体制の充実度も確認することが不可欠です。
コニカミノルタのサポートは非常に手厚く、導入後も十分なフォローがあったため、スムーズに活用できました。

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